S&P500連動型をはじめ米国株式を投資対象としているインデックスファンドは、高パフォーマンスにも支えられ人気が高まっています。
私もつみたてNISA、iDeCoで積立投資しており、楽天全米株式インデックスファンド(楽天VTI)を毎月定額買付しています。
そんな米国株式のインデックスファンドが注目されるなか、最近ネットでは「レバナス」という言葉をよく目にしますね。
レバナスに投資している方々を「レバナス民」と呼ばれているようです。
レバナスをおすすめされたけどよく分からない…
レバナスに興味があるけど買っても大丈夫なのかな?
今回は「レバナス」とは一体何者なのか、投資しても大丈夫なのか解説していきます!
- この記事を書いた人
Twitter(@sawao_kabu)
- レバナスはどんな金融商品なのか
- なぜ今レバナスが話題なのか
- レバナスを買う方法について
- レバナスのリスクについて
- 投資した場合のシミュレーション
※当記事はレバナスへの投資を肯定・否定するものではありません。投資判断の材料として情報提供しています。
結論:レバナスは3商品、購入するならリスク許容度を考えてから!
2022年8月現在、レバナスは下記3つの投資信託のことを指します。
- iFreeレバレッジ NASDAQ100
- 楽天レバレッジNASDAQ-100
- auAMレバレッジNASDAQ100
レバナスは大きな利益を早く得られる可能性がある金融商品であることは間違いありません。
ただし、大きな利益には大きなリスクも伴います。
もし初めて買うことを決断したならレバナスに対する理解を深め、そして投資する資金のリスク許容度を考えてから「レバレッジ」を経験していくことをおすすめします。
2022年1月からのナスダック指数の下落を受けて
レバナスを買ってみたら大きく含み損になって困っている…
このままレバナスを保有していて大丈夫なのか不安…
米国株の下落を受けてこのように感じている方は、リスク許容度を超える金額でレバナスを保有している可能性が高いです。
まずは当記事でレバナスとは一体どのような金融商品なのか今一度理解を深めましょう。
その上で記事の最後にはインデックス投資について学ぶことができる良書を紹介しているので、参考にしてみることをおすすめします。
まだ手に取ったことがない場合は、ぜひ読んでいただきたい一冊です。
投資に下落は付きもの、避けて通ることはできません。
下落局面においても冷静でいるための心構えやリスクの取り方を、自分のお金で身をもって経験していくことが将来の着実な資産形成に繋がっていくと考えます。
「レバナス」ってなに?
まずは「レバナス」というワードが一体なにを表しているのか、そこから解説していきます。
レバナスは 「レバレッジ型のナスダック指数を投資対象にした銘柄」 を意味する略称で、「レバ=レバレッジ型」と「ナス=ナスダック指数」が由来のワードです。
そしてレバナスと呼ばれるものは下記3つの投資信託です。
- iFreeレバレッジ NASDAQ100
- 楽天レバレッジNASDAQ-100
- auAMレバレッジNASDAQ100
レバナスの先駆け的な存在なのは「iFreeレバレッジ NASDAQ100」なので、ネット上で「レバナスを買っている」という方は「iFreeレバレッジ NASDAQ100」を買付していることが多いです。
レバレッジとナスダック、それぞれの意味が分かれば「レバナス」が一体何者なのか分かりそうですね!
レバレッジ型
まずは「レバレッジ型」とはどのようなものなのか、その仕組みについて今一度確認しておきましょう。
レバレッジ(Leverage)を和訳すると「てこの原理」です。
小さな力でも大きなものを動かすことができる、これが「てこの原理」ですね。
「レバナス」など投資信託でのレバレッジは、先物取引により何倍も大きな投資効果を追求することを表します。
つまり、レバレッジ無しの金融商品では10%上昇のところ、レバレッジ型(レバレッジ有り)の金融商品は20%、30%と上昇することになります。
レバレッジ型の商品だけ買えば利益出るの?
そう思う方もいるかもしれませんが先物取引はいわばリスクなので、大きく上昇する可能性もあれば逆に大きく下がる可能性もあります。
レバレッジ型の投資信託はハイリスク・ハイリターンということことですね。
なお、上昇時の倍率は金融商品によって異なりますが、海外の株価指数を対象とした海外レバレッジ型の場合、2倍から3倍になっているものが主流になっています。
倍率が2倍に設定されている「レバナス」もこのひとつですね!
ナスダック指数
次に「ナスダック指数」について見ていきましょう。
ナスダックはアメリカのベンチャー企業(新興企業)向けの株式市場のことを指しています。
米国の大企業GAFAMも上場しており、この5社だけで日本の東証一部上場の時価総額合計を上回るなど、ナスダックは世界最大の新興企業向け株式市場です。
そしてナスダックには、上場している株式の値動きを表す「ナスダック総合指数」と「ナスダック100指数」という二つの指標があります。
レバナスは「 ナスダック100指数 」を対象にしています。
つまり「レバナス」とは?
「レバレッジ」と「ナスダック」についてそれぞれ解説しました。
上記を踏まえるとレバナスは、
- レバレッジにより日々の値動きがナスダック100指数の2倍になるように運用される投資信託
- 「iFreeレバレッジNASDAQ100」、「楽天レバレッジNASDAQ-100」、 「auAMレバレッジNASDAQ100」という3つの投資信託のことを指す
ということになりますね。
まずはレバナスが何者なのか分かりましたね!
どうして今レバナスが話題なの?
- ナスダック100指数が右肩上がりで推移
- コロナショック時に買って利益を出した投資家がいる
- 楽天証券がレバナスに参入
- 短期で利益を出したい方に注目されている
- レバナスに投資するインフルエンサーの出現
レバナスがローリスク、ハイリターンという認識に
ここまでご覧いただいてレバナスについて分かってきた方はこう思うかもしれません。
リスクが高そうなのにみんなレバナスを買うんだろう…
それは4、5年の期間で見ると米国株式市場の指数が軒並み右肩上がりとなっており、中でもナスダック100指数は大きく上昇しているためです。
例として日本の代表的な株価指数である日経平均株価とナスダック100指数のここ5年の動きを見てみましょう。
青いラインのナスダック100指数は5年前から225%上昇しており、特に2020年初めの「コロナショック」による暴落を乗り越えてからは急激に上昇していますね。
実際にコロナショック時にレバナスを大量に買って一気に資産を増やした方もいるようです。
一方黄色いラインの日経平均株価は5年前から48%上昇していますが、上昇の力は弱く2021年以降はほぼ横ばいの展開が続いています。
このようにコロナショックから2年、ナスダック100指数が右肩上がりを続ける中でレバナスがローリスク・ハイリターンであるように見えています。
もはや誰でもレバナスを買えば簡単に大きな利益が出せる、そのような認識が広まっているように感じます。
さらに楽天証券が2021年11月に新しい投資信託「楽天レバレッジNASDAQ-100」を発表。
ネット上では「楽天レバナス」と呼ばれていますね。
上昇を続けるナスダック指数100の値動きと新しい投資信託の登場で、短期的に大きく利益を出したい投資家に注目を集めているということですね。
レバナスに投資し続けるインフルエンサーが登場
ナスダック100指数がコロナショックを乗り越え、毎日のようにレバナスが設定来高値を更新し続けていた2020年5月ごろ、SNS上にはレバナスに投資していることをアピールする方が増えました。
そして投資額が大きかったり、投資家界隈では珍しい20代女性というプロフィールのアカウントが、レバナスを購入している投資家に持ち上げられ一部はインフルエンサー化しました。
インフルエンサー達は一様に「レバナスこそ最強」「レバナスで最速FIRE」とセンセーショナルなワードで買いを煽り、結果としてSNSやブログなどWEBメディアを介してレバナスの認識が広まりました。
米国株の上昇やインフルエンサーの登場などが重なってレバナス人気が広まったということですね!
レバナスを買う方法
レバナスを購入するには証券口座が必要になります。
証券口座を開設後、取り扱っている投資信託の中から「iFreeレバレッジ NASDAQ100」または「楽天レバレッジNASDAQ-100」を探して買付することで保有することができます。
「iFreeレバレッジ NASDAQ100」は主要な証券会社であれば取り扱っていますが、 「楽天レバレッジNASDAQ-100」 は今のところ楽天証券のみの取り扱いとなっています。
もしレバナス購入を目的にこれから証券口座を解説するのであれば、両方のファンドを買付できる楽天証券での口座開設をおすすめします。
なお「auAMレバレッジNASDAQ100」はauカブコム証券でのみ買付可能となっています。
レバナスに投資した場合のシミュレーション
楽天証券が「NASDAQ-100(レバレッジ2倍)シミュレーション」を紹介しているので、こちらをもとにレバナスをシミュレーションしてみたいと思います。
前提条件
- 計測期間は2001年10月1日~2021年9月30日
- 毎月末に30,000円ずつ、20年間積立投資(720万円)
- 投資対象は「NASDAQ-100指数」の2倍レバレッジとレバレッジなし
シミュレーショングラフ
投資元本720万円がレバレッジなし場合は4,580万円、これでも十分素晴らしい投資実績ですね。
これが2倍レバレッジの場合なんと1億9,700万円になります。
720万円が2億円に…なんとも夢のある金額ですね。
複利とレバレッジがプラスの方向に作用し続ければ、お金はどんどん増え続けます。
過去のナスダック100指数の動きによるシミュレーションであり、将来の利益を保証するものでありません。
楽天証券に掲載されている注意点
「NASDAQ-100(レバレッジ2倍)シミュレーション」とは、当ファンドの運用をご理解いただくために、当ファンドの投資対象であるNASDAQ-100の推移を表わす指数(インデックス)を活用して、当社が作成したパフォーマンスのシミュレーションであり、実在するポートフォリオのパフォーマンスではありません。シミュレーションにあたり各種費用等は何ら考慮されておりません。
当資料におけるシミュレーションは一定の条件に基づいた場合の結果を表したものであり、将来の運用成果を約束するものではありません。
当ファンドの実際の運用においては、売買コストや信託報酬、運用資産の規模、設定解約に伴う資金流出入などによる影響が生じます。
そのため、当ファンドの運用成果が、上記シミュレーションと同様になることを約束するものではありません。
レバナスのリスクとは?
想定以上の大損となるリスクがある
レバナスは日々の値動きがナスダック100指数の2倍程度となるように運用されていますが、この2倍というのはあくまで目安であり、2倍以上に上昇・下落する可能性があります。
そのため、下落局面で想定よりも大きなリスクを負うこともあります。
また、ボックス相場と呼ばれる横ばいの相場では価格が押し下げられていくので注意が必要です。
信託報酬が高い
レバナスの信託報酬は高めに設定されておりiFreeレバレッジ NASDAQ100は0.99%、楽天レバレッジNASDAQ-100は0.77%に設定されています。
レバレッジの無い「iFreeNEXT NASDAQ100インデックス」は0.495%なので、レバレッジにより信託報酬は2倍近くになるということですね。
パフォーマンスが2倍なら信託報酬も2倍、これは納得するしかないのかもしれません・・・
現時点で2つのファンドしかないレバナスですが、SBI証券あたりがさらに信託報酬低いファンドを投入してくると、競争原理が働いてさらにコストが下がる可能性はありそうですね。
先物取引によるコストとリスク
前述の通り、レバナスは「先物取引」により2倍の値動きを実現しています。
先物取引とは、将来の売買を約束する取引のことで特有のコストがかかります。
最終的に負担することになるのはファンドを購入する投資家です。
ナスダック100指数とちょうど2倍で連動しないのはこのようなコストも関わってくるためです。
また、先物取引には期限(限月)がありこれを乗り換えるときにリスクが発生することにも注意しなければなりません。
これは約束された取引の価格(先物価格)が決済期間ごとに異なるためです。
暴落リスク
上昇時は利益が大きくなる一方、下落局面が続くと大きなリスクを負うことになります。
レバナスに限らず投資において「暴落リスク」を完全に避けることは難しく、他の金融商品であってももちろんリスクはあります。
ただ、下落局面が続いた場合にレバナスは他の金融商品に比べて大きな下落となる可能性が高いです。
例えば2020年2月~3月にかけてのコロナショックにおいて、iFreeレバレッジNASDAQ100の最大下落率が50.4%となりました。
この時もし1,000万円分保有していたら僅か1ヵ月で500万円以下になるほど、かなり激しい値動きです。
たとえ一時的であってもその資金が半分になった場合、NASDAQの動きが気になって夜も眠れなくなようでは日常生活に支障が出てしまいますね。
結果的にそのまま保有していれば基準価額は回復したものの、これほど大きな下落で冷静な判断ができるのか、買付する前に一度考えてみてもいいかもしれませんね。
その他レバナスには為替ヘッジによる為替リスクも存在します。買付前にはしっかり調べましょう。
まとめ
今回は今話題の「レバナス」について解説しましたが、いかがでしたでしょうか?
大きな利益を早く得られる可能性がある反面、相応のリスクがあることもお分かりいただけたと思います。
投資においてリスクは付き物です。
レバナスを買う買わないに関わらず、自身が投資に使える資金のリスク許容度に対して適正なリスクをとって、将来の資産形成を目指していきたいですね。
※ 当記事はレバナスへの投資を推奨するものではありません。最終的な投資判断はご自身でお願いします。
インデックス投資について学びたい方におおすすめの良書を紹介します。
これから投資を始める方におすすめ良書
投資についてわかりやすい本が見つからない・・・
もっと知識を身に着けてから実践したいな。
そんな方には私も読んだこちらの本がおすすめです!
インデックス投資:お金は寝かせて増やしなさい
「お金は寝かせて増やしなさい」はインデックス投資歴15年の水瀬ケンイチさん(@minasek)が、基本から実践まで初心者にもわかりやすくインデックス投資について解説している良本です。
「インデックス投資って何?」
「なぜインデックス投資が良いの?」
「具体的に何をすればいいの?」
「どの投資信託を買えばいいの?」
このような初心者にありがちなよくある疑問がこの一冊を読めば解決します。
内容としては
- インデックス投資の解説
- インデックス投資の実践
- インデックス投資の終わらせ方・出口戦略
上記について水瀬さんの15年にわたるインデックス投資の経験から解説されており、特に出口戦略については貴重な情報です。
インデックス投資を勧める本はたくさんあるのですがこの終わらせ方、出口戦略について触れられている本はほとんどありません。
投資を始めるとき、そして出口を意識し始めるときのために読んでおきたい一冊ですね。
もっと簡単に読めそうな本が良いな・・・
そんな方のためにマンガ版もあります!
インデックス投資は一見すると地味な投資スタイルです。
個別株の短期トレードや仮想通貨に比べれば資産が一気に増えることもなく、買い時・売り時を見計らってトレードすることもありません。
それでも全世界や米国株に分散投資しているインデックスファンドに積立投資して20年30年と保有し続けることが、誰でも確実に資産を増やせる方法であることは歴史が証明しています。
「投資=ギャンブル」という認識が根強い日本では、インデックス投資で富を築いた人は少なく、数年前まではまともな金融商品すら存在しませんでした。
それが今では低コストなインデックスファンドが多数存在し、手数料も低くスマホで簡単操作できる証券会社もあります。
これだけ恵まれている環境で余剰資金を銀行口座に入れておく理由は無いと言ってもいいでしょう。
インデックス投資のカギは「いかに早く始めるか」ということです!一緒に将来の資産形成を目指して頑張っていきましょう!
高配当株投資:オートモードで月に18.5万円が入ってくる「高配当」株投資
「オートモードで月に18.5万円が入ってくる「高配当」株投資」は、サラリーマンとして働きながら高配当株投資で資産1億円を達成した長期株式投資さん(@budoukamail)が自身の体験をもとに書いた1冊です。
全世界株やS&P500連動型など投資対象がある程度絞られているインデックス投資とは違い、高配当株投資は自分で投資する個別銘柄を選ぶ必要があります。
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