2021年3月11日、東日本大震災から10年が経ちました。
東北沿岸部に住む私にとってあの日の出来事は今なお心に深く刻まれています。
毎年3月11日が近づくとメディア各社は当時の光景を繰り返し伝え続けますが、当事者として経験した者として、過去の出来事よりもこれから起こりうる大災害で防災・減災へとつながる情報を発信して欲しいと常に感じています。
最近も震度5強を超える地震が続いており、東日本大震災を超える大きな災害になるとされている南海トラフ地震では亡くなる方は推定で20万人から30万人になるとも言われています。
大きな地震がいつやってくるのか、そしてそれが津波を引き起こすのか。
科学がどれだけ進歩した現代であっても、正確に予知することは不可能です。
日本という災害大国に住んでいる以上、常に備えておかなければなりません。
10年前に大きな災害を経験した私からも未来に向けて、誰でもできる日頃の備えや心構えを伝えていきたいと思います。
地震=津波を常に想定する
東日本大震災で最初に大きな揺れが発生したとき、市街地にいた私は5時間かけて沿岸部にある自宅へ歩いて帰りました。その途中で目の当たりにした国道に折り重なるいくつもの車と、どこからともなく流れる海水。状況が掴めず、近くにいた男性にいったい何が起きたのか尋ねました。
「津波、津波だよ。」
そこで初めて津波により見慣れた光景が一変したことをそこで知りました。それほど10年前当時「地震=津波」という認識は無く、ましてや津波というものがどれほどのパワーを持って人々の生活を脅かすのか想像すらしていませんでした。
東日本大震災を経て、東北沿岸部に住む方々には「地震=津波」が強烈に植え付けられました。南海トラフ地震でリスクのある地域に住む方々にも、今一度そのことを認識してほしいと思います。
自宅に帰ることが一番の安全策ではない
前述の通り私は市街地から沿岸部の自宅へ5時間かけて歩くことを選択しました。大きな揺れが発生してから津波の被害を受ける地域に向かって歩いていたこととなり、数時間早く車の折り重なった地点歩いていたら、命はなかったかもしれません。
大きな揺れがあり公共交通機関が全て止まった時どうやって自宅に帰ろうか、そしてゆっくりでも歩いてればいつか着くだろうと考える方も多いと思います。当時の私も同じでした。
それでも外出時に大きな揺れに遭遇した時、自分のいる場所が頑丈な建物で津波のリスクもない安全な場所であるならば、一旦そこに留まることを選択肢に入れるべきです。スマホも通話や通信ができなくなる可能性が高いため、海からの距離や場所の高さを周辺の情報から判断しましょう。
自分の命は自分で守る
東日本大震災では家族を助けに行く途中や家の様子を見に行ったことにより、津波に巻き込まれて亡くなった方がたくさんいました。私も高校の同級生が津波の被害で亡くなり、後日聞いた話では祖母を助けに行って津波に飲まれたそうです。
津波被害が多い三陸地方には「津波てんでんこ」という言い伝えがあります。
津波起きたら命てんでんこだ
「津波が起きたら家族が一緒にいなくても気にせず、てんでばらばらに高所に逃げ、まずは自分の命を守れ」という意味です。
大きな揺れが来たらそれぞれが冷静な判断で自らの命を守っていかなければなりません。助けに行きたくなるその気持ちは十分理解できますが、日頃からの心構えで家族全員がそれぞれ冷静に立ち回ることが被害を最小限に抑えることに繋がります。
災害発生時、職場の上司や学校の先生、各コミュニティの年長者が正確に判断できる保証はありません。自分の命は自分で守る、そのことをどうか心に深く刻んでほしいです。
国や自治体の救援物資はすぐに届かない
東日本大震災当時、災害が発生してから自治体の非常食が手元に届くまで5日ほどかかりました。たとえ十分な備蓄があっても、スムーズに配給される保証はありません。
そのため、最低でも3日分の水や食料は自宅に蓄えておくことをおすすめします。以前ブログでも紹介しました通り、食料や水に加えリアルタイムな情報を得ることができるラジオも備えておきたい物資のひとつです。
車のガソリンは常にタンクの3分の1以上入れておく
災害発生時、物流が滞るとガソリンスタンドへの燃料運送もストップするため給油したくても在庫がない状況が発生します。私の自宅近所のガソリンスタンドも約2週間、入り口に多くの車が列をなして給油できる日を待ち続けていました。
そして自宅の車はガソリンがほぼ無かったため、買い出しとに使うことができず相当不便な思いをしました。それ以来、常にガソリンは1/3以上残った状態で給油することを心がけています。
以上のように、たとえ大きなお金をつぎ込まなくても日頃の心構えと必要最低限の備蓄により、命を守ることはできます。
私の経験がこれから起こり得る災害で少しでも減災・防災に繋がれば幸いです。